関西に帰ってました。
帰る前に たぶんこれが最後と 彼に逢ってきた。
彼もそれは解っているようだった。 彼は私に物作りのヒントをくれる人だった。
おしきせではなく・・・
私の心の中には 彼がいなくなったら物作りをしなくなるようなぼんやりした感覚があった。
彼は言った。
「色々教えてあげたかった。 色々な事を少し言うとなんか自分で考える君が楽しかった。 でも 物作りは 道具がそろってなくても 何にでも表現できるよ。例えば 陶芸をしてきた。釜で焼く設備を調えるのは大変かも知れない。でも粘土を石や木に代えて物を表現する事もできる。 要は貴方のやる気の問題だよ」
そして 春を待ちわびる 住まいの回りの植物の話 春一番が吹いたとか吹かないとか 時折迷い混んでくる山鳩の話 梅 桃 桜 季節は巡り ぶどう狩り さつま芋 鬼灯 御盆の 茄子や胡瓜の送り火の乗り物の話。それが不思議と明るい大笑いの楽しい話。その場にいた四人で 🎵春一番を大合唱
明るい春の日溜まりの様な部屋の中で・・・
そして ショートカットにした私の髪型をひとしきり誉めると
「病気になって 髪に櫛を通す事が億劫になった。 ヘルパーさんが髪を切ったり、髭を剃ったりしてくれるが・・・病気が表に出るまではよくお洒落して出掛けた・・・ でも病気でも お洒落は必要だよね。死ぬまで色気はもってなきゃね。」
そう言う彼は 病人とは思えないくらい粋に作務衣を着こなし 般若心経の彫り込まれたブレスレットをしていた。
飄々とこの世の最後をたのしんでいるようだった。
笑い 話 楽しい数時間を過ごし彼の家をあとにした。 悲しみより 清々しさと 私はこれからも色々考えて物作りをして行きたいと・・・彼がどこかで見ている様な気がするから
そして私はこの人に出会う為に 定年を待たずにここに来たのだな・・・と
その夜 お礼と 安らかに楽しく1日でも長く・・・ 又逢いましょう。とメールを打ったが まだ既読にはならない。
今日はこの辺で・・・ 水仙の華が玄関に香っています。